TM-D700Eの車載実装

自宅の固定APRSノードの構築はひと通り完成していましたが、UI-Viewなどで固定ノードの位置を眺めたり、自動車などに搭載して移動しているノードの動きを眺めているだけではやはりちょっと面白くないので何とか車からビーコンを発信できる環境を作れないかと思っていました。方法はいくつかありましたが、今回JA1RBY 中山OMのお力と御好意によりTM-D700のヨーロッパ仕様であるTM-D700Eを入手することが出来ました。TM-D700シリーズは日本ではナビトラ仕様となっていますが、アメリカ、ヨーロッパ向けはAPRS仕様となっています。おまけに既にこのシリーズの生産は終わっているようで、入手はなかなか難しいものがあります。
箱を開けてみると、本体の横にマニュアルが入っていたのですが、なんと7冊+パンフレット数枚ありました。これは言語別になっています。さすがヨーロッパ仕様。
実際、箱の中身を全て取り出して並べてみました。本体とマニュアル、モービルブラケット、マイク、電源ケーブル、GPS入力用のケーブル、ヒューズの予備が一つ、ねじなどが入っていました。
この無線機は、表示部と本体が完全別体になっているタイプです。他社のデュアルバンダーよりちょっと大きいぐらいの本体サイズです。表示部はご覧の通り大き目のものになります。この無線機は、完全デュアルバンド機でVU,VV,UUどの組み合わせでも動作出来ます。2波同時送信はできませんが、同時受信は出来ます。ただ、今回はV(144Mhz帯)をAPRSで使いますので、Vチャンネルの設定は、144.64Mhz固定(関東では)で使います。Uのほうは普通に通信用もしくはエコーリンク用に使います。
本体背面です。電源ケーブルの+側に小型の平歯のヒューズが入っています。ちょっと特殊なんですけど、車に使ってるものかもしれませんので、カーショップでも入手できるかもしれません。ちなみに15Aです。あと、RF出力コネクタはN型です。
いよいよ本体に電源をつなげて、火入れしてみました。一応アンテナもモービルホイップを付けて部屋の外に出して受信してみました。144.64Mhzに設定してAPRSのパケットを受信できるように設定するのに結構手間取りました。英語のマニュアルしか読めませんから、それを見ながら設定したのですが、なかなかAPRSモードになってくれなくて時間を食ってしまいました。
各バンドの呼び出し周波数の設定も行い(デフォールトでは日本とは違う周波数になっています)、VチャンネルはAPRSモードにして受信している状況です。表示部左側(Vチャンネル)に実際に受けたパケットの詳細を表示しています。表示部右は430MHz帯に設定してメインを受信しています。
一通り、家の中でつなぎこみを確認したので、実際車に積んでみました。表示部をセンターコンソールの上に載せ固定しました。表示部から本体へつなぐ線をセンタコンソールの右端を通しています。あまりきれいじゃありませんね。本体は運転席シートの下に設置しました。本当はトランクのほうが良いかもしれません。が、トランクだとスピーカーを車内に用意しないといけないのと、電源、表示部からのケーブルが長くなってしまいます。ただ、デメリットとしてシート下には、ヒーターの噴出し口があり、冬は熱風にさらされることになります。
TM-D700Eを入手した時点では、まだGPSがありませんでした。ただ、トレッキング用に持っているハンディGPSがあったのでそれでテストしてみました。
GarminのVentureというモデルで、これはアメリカ仕様です。(日本語化されてない)地図もありませんが、結構多機能です。ただ今回は、ポジションデーターを受信して無線機に送り込んでやるだけですので操作は何もしなくてよいです。このVentureと無線機のGPS入力のケーブルは一時的に作りました。通信もNMEAフォーマットでOKでした。
こっちは実際今回APRS用に購入したGPS(Garmin GPS16-HVS)と無線機のGPS入力につなげる為の変換ハーネスです。仕様書を事前に入手し、結線にミスが無いよう前もって作っておきました。
いよいよ発注していたGPSが届きました。これがGPS16-HVSというモデルです。電源入力電圧が8から40Vと広く、本体一体型だったので今回これを選択しました。GPSのマニュアルを見て、再度仕様の確認をします。このモデルは端子がRJ45になっています。ちょっと思ってたよりでかかったので驚きました。GPSアンテナだけなら小さいんでしょうけどね。
実際車に載せる前に、GPS単体で今回作った変換ハーネスをつなげた状態できちんと動作するか室内で確認しました。GPS本体は外に出して受信させて、出力端子(無線機へつなげるコネクタ)から信号が出ていることを確認します。また、消費電流も確認しました。作った変換コネクタには電源ラインもありそこにはGPS用にヒューズ(0.2A)を入れています。実際流れる電流は40から60mAぐらいだと思います。
いざ、自作変換ハーネスを車の無線機に付け、GPSも後部座席の後ろのスペース、ほぼ真ん中に置きました。GPSからのケーブルはリアワイパーの隙間からトランク内に引き込み、そこから後部座席の脇を通して運転席下部まで通しています。
友人から、フロントコンソール上にケーブルを這わせるのはあまりにもみっともないとのクレームが付いたので、がんばってフロントガラス側を通して、ケーブルの露出を最小限にしました。少なくとも運転席からケーブルは見えません。まぁまぁかなと思います。
標準のマイクでは、DTMF信号が出せません。EchoLinkを運用する上で非常に困るのでDTMFマイクを調達しました。MC-53DMという型名のマイクだったんですが、既に生産中止になっていてその後継として、MC-58DMというマイクが発売されています。国内での調達は無理そうだったので、非常に大変でしたがアメリカのGIGAPARTSというお店に、ボイスシンセサイザーユニットVS-3と一緒に発注しました。クレジットカードが使えず、発送もDHLのExpress便を使ったのでかなりいい値段になりましたが、なんとか家に着きました。
これがMC-58DMです。無線機と接続するとほんのり光ります。昼間は光っているのは分からない程度です。
こっちは、ボイスシンセサイザユニットのVS-3です。非常に小さいです。親指の先ぐらいですかね。無線機のふたを一旦はいで中のソケットに入れないといけませんが、難しいことは何もなかったです。無線機の設定はJapaneseにしています。周波数などを読んでくれます。APRSのメッセージなんかも読み上げてくれますが、あまり役には立たないかもしれません。
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